煙の中に溶けるバニラの魔法。シガーが語る「大人の休息」
1533年、14歳のカテリーナ・ディ・メディチがフランス王家へ嫁いだ話は、当ブログの「アクア デッラ レジーナ」の記事でも触れました。
しかしカテリーナが持ち込んだのは、「王妃の水」だけではありませんでした。
もう一つ、彼女がフィレンツェからフランスへと持ち込んだのが——タバコの葉です。
当時のタバコは「嗜好品」ではなく「頭痛の薬草」として知られており、カテリーナは生涯を通じてその香りと効能を愛し続けました。やがてタバコは彼女の名を冠し「Herba catharinaria(カテリーナのハーブ)」と呼ばれるようになります。
その歴史的な記憶から着想を得て生まれたのが、サンタマリアノヴェッラの「トバッコ・トスカーノ」。
サンタ・マリア・ノヴェッラの「トバッコ・トスカーノ」は、かつてトスカーナ大公フェルディナンド3世が愛したトスカーナシガーの記憶をボトルに閉じ込めたものです。
多くの「タバコ系香水」が重厚で重苦しい印象を与えるのに対し、この香水は驚くほどまろやかでエレガント。葉巻の煙のようなスモーキーさの中に、バニラやホワイトムスクの柔らかな甘さが溶け合い、纏う人の肌の上で「ぬくもり」へと変わります。それはまるで、暖炉の火を眺めながら、最高級のレザーソファで読書に耽るような、至福のひとときを演出してくれます。
トバッコ・トスカーノを愛用・言及情報がある芸能人は?
そのミステリアスで温かみのある香りは、内面に深いこだわりを持つトップアーティストに選ばれています。
- ウォヌさん(SEVENTEEN)
「トバッコ・トスカーノといえばウォヌ」と言われるほど、ファンの間では聖典的な存在です。彼が愛用していることが判明して以来、この香水は「ウォヌの香り」として世界的に品薄状態が続くほどの社会現象を巻き起こしました。彼の持つクールで知的な外見と、時折見せる穏やかな温かさ、その二面性を完璧に体現している一本です。 - ジヌさん(WINNER)
透明感溢れるビジュアルを持つ彼も、この香りを好んでいることで知られています。中性的な美しさを際立たせる「スモーキーな甘さ」の使い手として、ファンの間で注目されました。 - 佐伯大地さん
※順不同。
この香水は「男性だけでなく、女性も纏える大人のタバコ香」として、一気に認知度が広がっています。
香りのざっくりイメージ
専門用語をできるだけ使わずに表現すると、トバッコ・トスカーノはこんな香りです。
一言で言えば——
**「シガーの煙が、琥珀色のバニラに溶けていく。知的でどこか懐かしい、冬の日の抱擁」**です。
- 「意外なほど軽やかな幕開け」
つけた瞬間、ベルガモットとジャスミンの上品な香りが広がります。
「タバコ」のイメージを良い意味で裏切る、洗練されたスタートです。 - 「本能に触れるスモーキー」
次第に、主役のトスカーナタバコの葉が香り立ちます。
バーチ(樺)のウッディな質感が加わり、まるで上質な煙の中に身を置いているような、心地よい渋みが現れます。 - 「とろけるようなバニラの余韻」
ラストは、バニラ、アンバー、そしてムスクが全体を包み込みます。
このバニラがタバコの苦味と混ざり合うことで、単なる「甘い香り」ではない、奥行きのある「官能的な温もり」へと着地します。

香りの構成
スモーキーな苦味と、バニラの甘美なコントラストが描く、完璧なグラデーションです。

| 段階 | 主な香り | 印象 |
| トップ | ベルガモット、ジャスミン | 「洗練の予感」 シトラスと花々が、気品ある導入部を作ります。 |
| ミドル | トバッコ(タバコの葉)、バーチ | 「大人の風格」 スモーキーでウッディな、葉巻の渋みが香り立ちます。 |
| ラスト | バニラ、アンバー、モルト、ムスク | 「温かな抱擁」 肌の上でバニラが溶け、中毒的な甘さが続きます。 |
香りのプロファイル
トバッコ・トスカーノを纏う前に知っておきたい、基本的な特徴のまとめです。
| 項目 | 内容 |
| 香りの系統 | ウッディ・オリエンタル(タバコ・バニラ) |
| 持続時間 | 5〜6時間程度(オーデコロンとしては異例の持ちの良さです) |
| 季節 | 秋・冬(寒い時期に、マフラーやセーターに忍ばせるのが最高の贅沢です) |
| ジェンダー | ユニセックス(もともとメンズ寄りだが、女性が纏うと独特の色気と知性が際立つ) |
| おすすめシーン | 秋冬の日常使い、読書の夜、美術館や博物館、「大人の自分でいたい日」 |
どんな人に似合う?
トバッコ・トスカーノはこんな人にピッタリです。

- 「大人」の余裕と色気を纏いたい人
若々しい爽やかさよりも、経験を積んだ知性と色香を優先したい方に。 - 甘い香りは好きだが、可愛すぎたくない人
バニラの甘さをタバコの渋みが引き締めるため、非常に「自立した大人」の甘さを表現できます。 - 冬のファッションを格上げしたい人
ウールコート、カシミヤのストール、レザージャケット。厚手の素材とこの香りの相性は抜群です。 - 知的で静かなオーラに憧れる人。
ここがリアル!「トバッコ・トスカーノ」の光と影
- 「タバコ」という言葉の誤解
いわゆるタバコの吸い殻のような不快な臭いは一切ありません。
あくまで乾燥させた「タバコの葉」の芳醇な香りです。
しかし、人によってはスモーキーさが「お香」のように感じられる場合もあります。 - 「体温」で化ける香り
この香水は肌の上で温まってからが本番です。
ムエット(紙)で嗅ぐよりも、実際に肌に乗せて、バニラがどう溶け出すかを確かめることが重要です。
シリーズの選び方ガイド
サンタ・マリア・ノヴェッラの「重厚・温もり」系香水のラインナップは他にもあります。あなたに一番似合う一本をぜひ見つけてください。
トバッコ・トスカーノ
本作。バニラとタバコ。「大人の余裕」と「中毒的な甘さ」。
パチューリ(Patchouli)
大地の匂い。最もドライで神秘的。**「孤高の知性」**を纏いたい方に。
似てる香水は?「トバッコ・トスカーノ」をハックする代替案
1. トム フォード | タバコ・バニラ
【比較:よりパワフル】この系統の王者
トバッコ・トスカーノよりもさらに甘く、さらにスパイシー。圧倒的な拡散力と、より濃厚なバニラを求めるならこちら。
2. ディプティック | ヴォリュート
【比較:より幻想的】蜂蜜のようなタバコ
シガーの煙を、蜂蜜やアイリスでより柔らかく、パウダリーに表現。トバッコ・トスカーノの「渋み」が少し強いと感じる方におすすめです。

まとめ:あなたは、静かな情熱を肌に灯す
トバッコ・トスカーノは、誰にでも似合う香りではありません。それは、自分自身の時間を大切にし、静かな情熱を内に秘めた人のための香りです。
洗練されたシトラスの幕開けから、
芳醇なトスカーナシガーの誘惑を経て、
肌を包み込むバニラのぬくもりへ。
冬の冷たい空気の中で、この香りを纏うとき。あなたは誰の目にも、「語らずとも多くを物語る、魅力的な大人」として映るはずです。
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